「ハンドサッカーとは、既存の競技では十分に対応しきれない様々な実態の障害をもつ子ども達に合わせ、活躍の場を広げ、個々の能力を引き出し、心身を健全に育成するために考え出された競技である。ハンドサッカーのプレイヤーおよび指導にあたる者はこの根本に流れる精神を大切にし、競技・指導に努める。」(ハンドサッカー競技規則序章より)
肢体不自由の特別支援学校には、様々な実態の児童・生徒が在籍しています。体育の授業では、車椅子バスケットなどのパラリンピックを始めとするポピュラーな障害者スポーツや電動車いすサッカーなどの特定の障害種別による競技は、授業でみんなが一緒に行うのは困難でした。そんな理由で陸上競技などの個人種目が多かったのです。しかし、生徒がやりたいのは…球技でした。こんな悩みをもった教員がみんなで一緒に参加できる競技はないものか、「なければ作ろう!」と試行錯誤した結果生まれたものがハンドサッカーの原型となるものでした。
このように生まれたハンドサッカーは、児童生徒の実態に合わせ競技内容やルールを工夫していきました。障害の状態に合わせ、段階的に3つのポジションとゴール キーパー(GK)を設定しています。3つのポジションは、フィールドプレイヤー(F)、スペシャルシューター(SS)、ポイントゲッター(PG)です。
・フィールドプレイヤー(F)
フィールドプレイヤー(F)は、コート上を自由に動きまわることができ、比較的機能障害が少ない選手が対象となります。
・スペシャルシューター(SS)
スペシャルシューター(SS)はコート上を自由に動きまわることができるが、比較的機能障害が重度の選手が対象となり、スペシャルシューターエリアに入ることで、サブゴールへのシュートの権利が得られ、2投の試技で成功するごとに1点ずつ加算されます。
・ポイントゲッター(PG)
ポイントゲッター(PG)はポイントゲッターエリアに位置し、他の選手からのパスを受けたときに、1点が加算され、さらに自らの課題に挑戦する権利を得ます。課題が成功するとさらに1点が加算されます。
・ゴールキーパー(GK)
ゴールキーパー(GK)はゴールエリアに入ることのできる唯一のプレーヤーで、最終的にゴールを守ります。しかし、コート上に出て行くことも可能でその時は通常のフィールドプレイヤーと同じ扱いとなります。
それぞれの選手には、障害の度合いにより5秒もしくは10秒の持ち時間が決められており、その制限時間内しかボールを保持し続けることはできません。どちらの時間を適用するかは、チームの指導者が 決定します。
上肢等の麻痺などにより、パスされたボールをキャッチすることが困難な場合があります。ハンドサッカーでは、ボールのキャッチが困難な選手はボールが身体や車椅子などに 触れた場合にボールの保持を認めるようにしています。ボールをキャッチが可能な選手はボールに触れただけでは保持は認められません。どちらを適用するかは、チームの指導者が決定します。
ハンドサッカー大会の歴史は時代が昭和から平成に変わり、ある養護学校の先生が研究会で各学校の体育の授業で行っている球技を紹介しあったことから始まりました。その授業内容が同じようなものだったこともあり、交流試合を行ってみてはどうかという話となりました。数回の打ち合わせを経て、ルールを統一させて実施した試合が始まったのは1989( 平成元)年度のことです。第1回(1989年度)、第2回(1990年度)は都立府中養護学校と都立江戸川養護学校の2校での交流試合でした。この試合を見て、その趣旨や有効性を理解した教員が自分の学校も参加させたいと、年を追う毎に参加校を増やしていきます。現在の東京都肢体不自由特別支援学校体育連盟主催の大会は都内にある肢体不自由特別支援学校全18校が参加するの大規模な大会となっています。また、茨城県でも大会が開かれるようになりました。
関連動画のページでも研修会の様子などを紹介しています。
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